佐原駅の正面から出て一つ前の丁字路を左に折れた通りは、週末ともなれば近隣の町々から大勢の人々が繰り出しとても賑やかな通りでした。
通りを突っ切った両端右側に”十字屋ポポ”、左側に”佐原ショッピングプラザ清見屋”と百貨店が両者にらみ合う形で建っていて、子供、若者、若夫婦、実年夫婦、おじいちゃんおばあちゃん達等、様々な人々がそこで買い物や食事を楽しみ、休日の心地よい喧噪に浸っていたのです。
当時は駅前通りが佐原のメインストリートの様相でした。
しかし、時代は変わり百貨店が力をなくし、ポポ、清見屋両者とも閉店したのでした。
(株)山崎屋酒店はその駅前通りで50年以上にわたりご商売を続けている酒店です。
ご主人、女将さん、とても気さくで話しやすい方達です。
「辛口の純米酒で良いお酒ありませんか?」
ご主人はイロイロと店内を見渡し、
「これなんか昔で言うところの2級酒のような酒なんですけど、割と人気があって、自分なんかも疲れたときなどはこのお酒が体に合いますね。」
と、高級酒を勧めるのではなくご自分の経験を踏まえて教えてくれるのです。
商売っ気があまりない、客に良い酒店です。
店の入り口裏側の左壁に額縁がつってあります。
「これなんですか?」
「これね、うちでつくって販売している絵はがきセットなんですよ。」
「ペン画なんですよね。桐谷逸夫です」
「これじゃよくわからないから、パソコンに絵入ってますからお見せしますよ。」
と店の奥左手の作業机に置かれたノートPCに絵はがきの元絵を表示してくれました。
この2点の絵はご主人より掲載許可をいただいております。
街の雰囲気がペン画にマッチしていていい感じです。一通り見せていただきました。
この葉書セットは街の土産物店どこかで販売されているはずです。
当たり前ですが(株)山崎屋酒店では間違いなく購入することができます。酒類だけではないのです。
店の前右手には昭和の酒店必須アイテム”ホンダ、カブ”が置いてありました。荷台には生ビールの容器が積まれてこれ以上ない絵面です。
昔からある街の酒店は量販店にはない魅力があります。
それは街の風に染まり、長い年月をかけ街の一部と化しているからです。
街の風景に小売りの酒店は絶対に必要でしょう。香りよい酵母菌のようなモノです。
人の人生は丸い円が次第に広がりを見せ、様々な人々の丸い円と少しずつ重なりをなし、大きな縁となっていくものです。
今日もこの街を彷徨い惑い、(株)山崎屋酒店さんで楽しい時間を過ごしました。
なお、このお店、実は健康食品のネット販売(株式会社山崎屋酒店)もおこなっているのだそうです。
funa
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