街の中心地を走る道がある。川沿いの側道(川岸通り)からつながる道で、旧市街を走る唯一の幹線道路である。道はいい具合にわずか蛇行しながら街を貫いてゆく。川につながるあたりには旧い商家を改造したカフェ、雑貨店、紙製品販売店、菓子店、酒店、土産物店、自然食品店、金物店、駄菓子屋、レストラン、小ホテル、旅館が両側道から軒を並べ、幹線道路の両側まで賑やかに連なっている。すべて木造の造作で、旧ければ旧いほど板材の黒さが増し心地よく目に映る。
ツバメが飛来する。
5月から6月頃、巣をかけ雛を育てるためにやってくる。
燕尾服を着用し喉元をオレンジに染めた木造商家軒下の空中ダンサーたちだ。道路すれすれから上空に華麗なアーチで飛翔しながら雛に食べさせる餌を採取している。軒下に板を打ち付け巣をかけさせてもその下には泥、フンがいずれ大量に落ちてくる。
誰も気にしない。ツバメはもともと縁起物だ。
6月のある早朝、通りを行くと、カラスが道の真ん中にふてぶてしく降り立ち、何かを狙っている素振りである。見ると軒下のツバメの巣を狙っているようである。ちょうど育ち盛りの雛たちが精一杯頚を伸ばし餌を要求しているのだ。親ツバメはさかんにカラスを牽制し撃退しようとしている。ツバメは巣に近づけまいと、小さな回転半径で何度もカラスの近くに飛来を繰り返し、攻撃の意志を見せている。しかし、大きさの余裕かカラスはあまり気にしない。その時
隣の巣からツバメが飛来して、共同戦線をはったのである。
世帯を分かつ2羽のツバメの必死の飛翔攻撃が激しさを増した頃、カラスはややたじろぎを見せ、その後飛び去っていった。
すごい!
子孫を守る為の純粋で迷いのない行動に魂が熱くなった。
ツバメたちよ。
最高だね!Good Job!
ポタリングの政
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