小野川沿いには柳の他に、柿の木もあります。
この時候、柿の葉は黄色や、暗赤色、朱色に色づき、その実もあでやかに日本古来の情景を演出します。
この句は、晩秋の季語 ”柿紅葉”をもちいて、小野川沿いをぶらぶら散策したときの様子をうたっています。
“川風の ひと吹き哉、染む 柿紅葉” funa
”川をわたる風が、ひと吹き過ぎゆく度に柿の葉が色づいて行く。
秋も深まり、風も冷たさをすこしずつ増して、冬が近づいてくる。
でも、晴れた日の小野川沿いは日の当たる川岸通りを歩いているぶんにはとても暖かく心地よい。”
”ひと吹き哉、染む” とあえて読点をうったのは、吹く風の一度ごとに染まり行く柿の葉と季節の移ろいを際立たせる為です。
ぶらぶらと小野川沿いを歩きながらふと思います。
曲がり流れゆく川が、町並みが、次に見える景色をもったいぶって小出しにしてきます。
次に現れる景色が、すべての人にとって、より良い景色であることを願います。
しかし、人もまた様々に紆余曲折、巡りわたる人生なのでしょう。
何度歩いても新しい景色がそこにはあるのです。
funa
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