街を貫く街道から小野川沿いに少し入ったところに㈲並木仲之助商店はある。
お香の香りが客引きだ。明治25年築の切妻平入り、元々は日用品雑貨荒物卸業のお店だったという。小野川沿いにその店があることに異議を唱える者は誰もいない。あたりの風景、街路の造作、川沿いの色彩、僅かの歪み、生きて行く為の苦渋、決断、喜び、再生、希望、優しさ、すべてを建物がそっと身に纏ってたっている。時代を生きてきたのだ。
お店の中は、素敵な商品が距離感”いい加減”で並んでいる。(一度お越しください。素敵です。)
川の側道に面した柱には目を引く壁掛け時計がある。
SEIKOSHAと銘打たれた時計で、素晴らしくアンティークだ。時のたつのも忘れてじーっと眺めてしまう。数年前まではゼンマイを巻けば稼動し、時を刻み、時報を奏でていたらしい。店の中から小野川通りをのぞみ、夕暮れ時にこの時計が時報を奏でるなんて、最高に素敵にタイムスリップしている。
店内でうろうろしていたfunaは素敵なご婦人とお話をする機会に恵まれました。
やはり、この街が好きでしばしば訪ねてきていただいているようです。この街好きな者同士、話は尽きません。会話の中で、いまこの町を曲名に冠したポップス曲が存在することを教えていただきました。その曲が”佐原の町並み”(作詞、作曲 長戸大幸)歌 新浜レオンさんです。なにやらご婦人の周囲では大変な”推し曲”となっているらしいのです。
大いに楽曲を応援してください。なにしろ”佐原の町並み”です。
店の片隅に旧い木製の看板がある。
卸業時代の看板だ。
木製の看板は、この場所とここに流れる時間をとりこみ、かけがえのない一つのモノとなる。
天井の電気配線も最高だ。
時がたつと、モノの存在と機能が周囲と調和してくる。それは誰にも邪魔できない、モノたちの和合の過程なのだろう。
この商店が内部に含有する芳醇な時の足跡と、店さきから漂ってくるお香の漂いを眺めながら、商店の素敵な女将さん、お店で出会った素敵なご婦人とささやかな時間を語らう。
この街を彷徨っていると、街が人と人の関わりに機会を与え、色よく染め上げようとするのです。
彷徨い惑い、出会い、語らい、そして楽しむ
funa
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